紋と書入れで役者を特定する方法――定紋・替紋・名前の手がかり

「この役者は誰だろう?」。役者絵を見るとき、まず気になるのがこの疑問です。上方の役者絵には、役者を特定するための手がかりがいくつも隠されています。

Actors can be identified by their family crests on costumes, their names written on the print & their distinctive facial features.

■ 手がかりは3つ / Three Clues

役者を特定する手がかりは、大きく分けて「書入れ」「紋」「似顔」の3つです。上方の役者絵は役者名が書かれていることが多いのですが、名前がない場合や判読しにくい場合は、紋と似顔が頼りになります。

■ 役者の紋 / Actor Crests

歌舞伎役者は家ごとに定紋をもち、そのほかに替紋を用いることもあります。役者絵では、衣裳や小道具、背景の提灯などに紋が描き込まれ、役者を示すサインになっています。

役者(家)よく知られる紋
市川團十郎家三升
中村歌右衛門家祇園守
尾上菊五郎家重ね扇に抱き柏
嵐璃寛など嵐の一門橘
坂東三津五郎家三つ大

■ 名前と代数の見極め / Names & Generations

役者は襲名によって名前が変わり、同じ名前が何代にもわたって受け継がれます。たとえば「中村歌右衛門」でも三代目と四代目では活躍期が異なります。作品の制作年代、判型、絵師の活躍期などとあわせて考えることで、何代目なのかを絞り込むことができます。

■ 似顔を覚える / Learn the Faces

上方の役者絵は似顔が正確なので、何点か見ているうちに、目元や鼻の形などの特徴から役者を見分けられるようになります。同じ役者を異なる絵師が描いた作品を並べると、共通する特徴が見えてきます。

  • 紋は家の紋だけでなく、役者個人が好んで用いた替紋もあるため、一つの紋だけで判断せず、書入れや似顔とあわせて確認しましょう。
  • ここに挙げた紋は代表的なもので、時代や役者によって異なる場合があります。

コメントは受け付けていません。

コメントを残す