木版画ができるまで――絵師・彫師・摺師・版元の仕事と上方の職人たち

一枚の浮世絵は、絵師ひとりの力で生まれるわけではありません。絵師・彫師・摺師、そして全体を取りまとめる版元の分業によって作られます。その工程と、上方で活躍した職人たちの姿をご紹介します。

An ukiyo-e print is the product of teamwork among the designer, carver, printer & publisher. Some Osaka prints even record the names of carvers & printers.

■ 制作の流れ / Production Process

工程担当内容
企画・依頼版元題材を決め、絵師に下絵を依頼。彫師・摺師を手配
下絵絵師墨線で版下絵を描く
主版(墨版)彫師版下絵を版木に貼り、輪郭線を彫る
校合摺彫師・絵師主版を摺った校合摺に、絵師が色の指定をする
色版彫師色ごとに版木を彫る
摺り摺師色版を順に摺り重ね、見当で位置を合わせる
販売版元絵草紙屋の店頭などで販売

■ 主版と墨 / The Key Block & Black Ink

最初に作られる版木は主版や墨版と呼ばれ、絵師の描く下絵を正確に写すものです。浮世絵の黒には墨が使われ、多くは墨を水に浸して柔らかくし、すりつぶして布で漉した墨汁が用いられました。礬水(膠と明礬)や姫糊を加えると、光沢のある「つや墨」になります。

■ 名前を残した上方の職人 / Named Craftsmen of Osaka

大坂の役者絵には、彫師や摺師の名前が記されたものがあります。天保期の摺物様式の役者絵を手がけた彫師・嘉助は、その代表的な存在です。また「スリ亀」の印で知られる摺師・堀尾亀三郎は、文政後期に摺師として活動をはじめ、天保の改革後も中判の摺師として活躍し、明治には版元となったことが研究で明らかにされています。職人が作品の販売にも関わっていた点は、上方浮世絵の大きな特徴です。

  • 版元印は、本来その作品の制作から販売までの全責任を持つ証しでした。
  • 校合摺が残っている作品からは、版元印が主版に彫られていたことがわかります。

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